このキレ方はハンパじゃない!――小林ゆう LIVE「Don't stop me now」@表参道FAB
(あるいはアニソンぷらす+2009.9.14放送の金田朋子x小林ゆうを何度も見返した日の日記)
・公式ブログ;http://ameblo.jp/yu-no-jiyu-cho/entry-10350039516.html
マゾッホがそのイデアリズムないしは「超官能主義」を定義する方法は、一見、平凡なものに見える。
『離婚した女』で彼はいっているのだが、
問題は世界を完璧なものと信ずるのではなく、かえって「羽をはやして」この世界から夢へと逃亡することなのである。
だから世界を否定したり破壊することが重要なのではないし、まして理想化することが重要なのでもない。
世界を否認し、否認の仕種によって宙吊りにされた理想的なるものに向って自分を拡げることが問題なのだ。
現実的なるものの正当な権利主張に異義を申したて、純粋に理想的な拠点を現出せしめる。
そうした操作は、マゾヒスムの法学的精神にぴたりと一致している。
憑依と侵食――私は誰かで誰かは私で
「奇」とは、凡人の価値観を超絶したものに与えられる形容でなくてはならない。
(三木成夫『胎児の世界――人類の生命記憶』中公新書,1983,p143)
地獄には地獄の法律がある。錯乱には錯乱の論理がある。
こういう錯乱の論理を把握しないで、どうして狂人の論理の錯乱を笑うことができようか。
ましてかれを正気にかえすことができようか。論理はいたるところに潜んでいる。
声優、小林ゆうのキャラクター作りは憑依型であるように思う。
ラジオ「小林ゆうの(仮)」*1の一コーナー「お憑依さん」などその代表例であろうが、
彼女は自らの語りの途中に、動物や過去に自分が演じたキャラクター、
果ては自分でも誰だか解らない人などを総動員させてしまう。
小林ゆうは絶えず内なる他者に侵食されている。
もしも誰かが私なら私は私じゃありません
けれど私が私なら誰も私じゃないでしょう
誰も私じゃなかったら私はいったい誰なのか
もしも私が誰かなら私はたぶん私でしょう
(沢渡朔,詩=谷川俊太郎『少女アリス』河出書房新社,1991)
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というのも、ヒステリー患者はたえず己れの不幸を反復するのだ。
それを再演するのみならず、つねにその突発をふたたび招きよせる。
逸脱と自覚――Don't stop me now
「小林ゆうの(仮)」第6回から登場した、
豚のぬいぐるみのミンチさんと小林ゆうによる掛け合いは見物である。
掛け合いと記したが、実はこれは小林ゆうが一人二役で行っている。
従って、これは小林ゆうの一人芝居なのだが、
注目すべきは、ミンチさんは常にツッコミ役として機能しているということだ。
小林ゆうはよく話を脱線してしまう。そんな時ミンチさんは「早く話しを進めろ」と進行を促すのだ。
小林ゆうは「逸脱した自分」に自覚的なのだ。
小林ゆうは必死に身体を統制しつつ、それでも逸脱することを止めない。まさに「Don't stop me now」。
敬礼と謙遜――腰の低い悪魔
ベタとメタの皮膜の薄さを感じさせる行為は他にもある。例えば小林ゆうのお辞儀だ。
浅野真澄に「腰の低い悪魔」と称された彼女のお辞儀の深さには毎回驚嘆する。
しかし、極めて礼儀正しい挨拶が極めて不自然に行われることで
「挨拶」の儀礼性が増幅され違和をもたらしてしまっているのだ。
そう、彼女は期せずして秩序の告発者として振る舞うのである。
狂人というものは、健全な普通人を、一人残らず、彼らの方がかえって気ちがいだと思い込んでいるものである
という江戸川乱歩の言葉から推察するに*2
小林ゆうは決して狂人ではないことがわかるだろう。
小林ゆうは常に謙遜し、時に過剰に思えるほど誰にでも敬意を示すからである。
小林ゆうはいい人すぎて、過度に気を使ったり期待に答えようとしてあんな風になっちゃうのかな
(金田朋子×小林ゆう出演時のアニソンぷらすのニコニコ動画と2ちゃんねるの反応 猫とネギま!と声優さん)
http://catmania.blog13.fc2.com/blog-entry-2665.html
小林ゆうが見る世界
小林ゆうの見ている世界とはいったいどんなものなのだろう。
彼女が描く数々の名画にそのヒントはあるのであろう。(http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/51942716.html)
この目を潰した後、暗闇の向こうに見える景色。
極端から極端への走馬灯が支配する官能の豚小屋の扉へ。
小林ゆう LIVE「Don't stop me now」@表参道FAB
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The Usedのデビュー・アルバム、日本版の帯につけられているコピーだ。
この言葉は大槻ケンヂに「戸川純以来の衝撃」と言わしめた小林ゆうにこそふさわしい。そう思った。
どうやら小林ゆうは首を痛めてドクターストップがかかったらしく、この日はヘドバンはしなかった。
だがその分MCを含めポテンシャルの高さを見せ付ける内容となった。
・二人のダンサーとともにスパンコールを散りばめたジャケットを着て登場
・「HANAJI」アコースティックバージョンよかった
・キャラソンメドレー
木村カエレ(絶望先生)→加治木ゆみ(咲-Saki-)(ステルス桃をいじる下りが最高)→ハッピー☆マテリアル
各キャラクターが憑依していく様が面白い。やはり憑依型だ。
しかし、舞台袖に何度も引っ込んでしまうと変な間が出来てしまうので残念。もっと上手い見せ方があったはず。
・ルチャドール
以前ライブで歌った時の話。他の出演者が可愛らしい曲調のなか、自分はどうすれば?
母親が「度肝を抜いてさしあげなさい」と的確すぎるアドバイス。
・アンコール時。Tシャツを後ろ前逆に着ていたことに気づく画伯。
・アンコール時。話が長いのだが、この人は許せる。
・HANAJIオリジナルバージョン。ダンスをしながらこの曲を歌うのはきつそうだ。
・ダブルアンコール。予定にないけど出てきちゃった。
・曖昧なセットリスト
1 FIGHT OR FLIGHT
2 Overheat〜変わりゆく瞬間〜
――MC――
3 Black eyes
4 FREE?
――MC――
5 HANAJI(アコースティックバージョン)
――舞台袖へ――
6 プライベイト・レッスン
――舞台袖へ――
7 麻雀天使にかこまれちゃう
8 ハッピー☆マテリアル
――MC――
9 空のコトバ
10 紅い月
11 YOU&YU
12 ミックスジュースdeマックスパワー
――アンコール――
13 ルチャドール
14 ゼロリアン
15 HANAJI
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