2016年に考えた1990年代邦楽ベスト(という名目の日記)
今年はとくに自分のクズさをずぶずぶと突きつけられた。なぜまだ死んでいないのだろう。
(このような自虐的な態度がさらに周りを不幸にしている)
「日々の生活」という学芸会ではなにかをはぐらかしつづけなければいけない。
アニメ『響け!ユーフォニアム2』最終回を見返しながらそのことを強く刻むことにした。
どの登場人物も素晴らしく、また各人物の配置もとても美しいものだったが、田中あすか先輩の言動は忘れられない。
黄前久美子が漏らしてしまう「本音」は、やや不穏なものもありつつ(とくに高坂麗奈には油断の度合いが強い)
少しずつ「ポジティブで真っ直ぐな感情」といったものを多く漏らすようになるが
田中あすか先輩は卒業式までかっこよかった。黄前久美子に見せる微妙なニュアンスの「気持ち」にもヒリヒリしていた。
ただし、あのかっこよさは演奏者としての確かな技術と学業の成績の良さというスキの無さが条件なのだろう。
そこにとてつもない「しんどさ」を感じる。
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きっと直接的には『ミュージック・マガジン2016年7月号』の
特集「90年代の邦楽アルバム・ベスト100」なのだろう。
個人のブログ等で1990年代の邦楽について語られたいくつかの文章や
またはランキングだけ記されたものなどを目にする機会がおおかった。
もちろんそれだけだったら、いつものように情報をうけとるだけうけとって
あしたにはもう読んだことさえ記憶から消えさっていたのだろう。
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スティーヴン・ウィット『誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち』(2016,早川書房)のエピローグ
「とうとう諦めた僕はスポティファイに会員登録し、現実を受け入れた。
僕がアーカイブだと思っていたものは、磁気の切れかけたゴミの塊だ。」
という記述が定期的に思い返される。
とくに「2016年年間ベスト」といったものを見ているときは残像のように脳内にへばりついていた。
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病院の待合スペース。診察までの待ち時間。携帯端末をいじったり
置いてあるよくわからない雑誌を眺めるより、ほかに時間をかけるべきことはないだろうか。
そこでメモ帳とフリクションボールペンとA6サイズのクリップボードを用意して
ひとりで1990年代邦楽の順位付けを楽しんでいたのだ。
その手書きのメモに書いた順位をもとにして
ブログまで更新してしまうとは予想外であった。
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50.cali≠gari「第3実験室 改訂版」(1998年)
49.Goddess in the Morning「Goddess in the Morning」(1996年→再発1998年)
メーカーの公式ページ(SOUNDCLOUDの視聴あり)http://magnet-biosphere.com/item/323.html
47.スピッツ「フェイクファー」(1998年)
44.SOFT BALLET「INCUBATE」(1993年)
43.中谷美紀「私生活」(1999年)
40.國府田マリ子「だいすきなうた」(1998年)
39.LAREINE「LILLIE CHARLOTTE」と「Métamorphose」(1998年)
2枚のシングルを1つにする反則技だが
2013年に「LILLIE CHARLOTTE within Metamorphose」として
まとまってリリースされたので。
37.SUGIZO「TRUTH?」(1997年)
36.INORAN「想」(1997年)
34.Cocco「クムイウタ」(1998年)
32.新居昭乃「そらの庭」(1997年)
31.BUCK-TICK「darker than darkness -style93-」(1993年)
30.PIERROT「FINALE」(1999年)
29.D≒SIRE「終末の情景」(1995年)
28.Plastic Tree「Hide and Seek」(1997年)
27.黒夢「CORKSCREW」(1998年)
26.NUMBER GIRL「シブヤROCKTRANSFORMED状態」(1999年)
22.LUNA SEA「IMAGE」(1992年)
21.LUNA SEA「EDEN」(1993年)
20.Laputa「麝〜ジャコウ〜香」(1998年)
16.Dir en grey「楓」〜if trans・・・〜(1998年)
14.MALICE MIZER「Voyage 〜sans retour〜」(1996年)
13.Dir en grey「GAUZE」(1999年)
12.螢「ガラクタ」(1999年)
11.Plastic Tree「Puppet Show」(1998年)
10.Port of Notes「Complain too much」(1999年)
7.Raphael「Sick」〜XXX患者のカルテ〜(1999年)
6.MALICE MIZER「memoire DX」(1994年)
5.REDЯUM「REDЯUM」(1999年)
4.MALICE MIZER「Merveilles」(1998年)
2.L'Arc~en~Ciel「DUNE」(1993年)
ただし現在は「Floods of tears (single version)」「夜想花」「予感」の
ボーナストラック入りの「DUNE 10th Anniversary Edition」がおすすめ
50位〜41位
50位をどうするかで悩み、最終的にCali≠gariの「第3実験室 改訂版」にした。
どちらかといえば「第4実験室」「第5実験室」の方がまとまっていておすすめだが
私が一番始めにジャケ買いしたのが「第3実験室 改訂版」だったので。
「VISUAL JAPAN SUMMIT 2016」のCali≠gari良かったです。
スピッツは「ハチミツ」「インディゴ地平線」と悩んで「フェイクファー」にした。
EGO-WRAPPIN'、SOFT BALLET、中谷美紀、Corneliusはリアルタイムではなく後追い。
フリッパーズ・ギターや小沢健二ソロがいまだにうまく聴けないのに
コーネリアスのこのアルバムはしっくりきたのが不思議。
La'cryma Christi、ラルク「ark」「ray」はほぼリアルタイム。
「ark」「ray」は当時はよく聴いたが2016年に振り返ると、さすがにアルバム単位で聴くことは稀か。
逆にラクリマクリスティはリアルタイム時よりも評価が高くなっている
40位〜31位
世間の評価が高い(気がする)SUGIZO「TRUTH?」よりもINORAN「想」を上位に置いている。
ゲストボーカルを多数参加させ、退廃的ながらも耽美な聴き心地なのでINORANに軍配が上がる。
椎名林檎「無罪モラトリアム」。
当時は「警告」「モルヒネ」あたりが好きだったが
「正しい街」「丸の内サディスティック」が評判高いと後年に知り
また別の時期には「茜さす 帰路照らされど・・・」が好きになったりと
聴き方が変わったアルバム。さすがに最近はかつてほどの熱量は無いが。
LAREINEはリアルタイム時の思い入れが強く出た結果。
國府田マリ子、Merry Go Round、X、新居昭乃、BUCK-TICKは後追い。
國府田マリ子さんは声優だが、このアルバムは
シンガーソングライターが作ったミニマムな作品という佇まいで好ましい。
30位〜21位
ピエロはインディーズ時代のアルバムの方がファンには評価が高いのかもしれない。
ただ、自分は「パンドラの匣」「CELLULOID」「Screen」のどれかを選ぶのが難しかったため
メジャー1stの「FINALE」を選択した。当時よりもかなり評価が上がったアルバム。
NUMBER GIRL「シブヤROCKTRANSFORMED状態」は
いわゆる97年だか98年の世代と呼ばれているバンド群のなかで
唯一リアルタイムで聴いていたバンド。
BUCK-TICK「惡の華」が思いの外上位の感じがするが
「NATIONAL MEDIA BOYS」はもちろんだが
「LOVE ME」「KISS ME GOOD-BYE」など地味に好きな曲もあるためこの位置となる。
プラのメジャー1st「Hide and Seek」は後のアルバムに比べて
あまり評判をきかないが、個人的にはかなり好き。
2012年発売の「インク」初回限定盤でセルフカバーしたため
現在聴くならこの「Hide and Seek (Rebuild)」を聴いてしまうが。
D≒SIREは完全に後追いなのだが、やはり良い。
私は黒夢の良い聴き手ではないのだがそれでも「CORKSCREW」の勢いには圧倒される。
2016年に改めて聴くと、黒夢にはその後のV系バンドの煽り曲の原型が詰め込まれているとすら思えてくる。
L'Arc~en~Ciel「True」は一般的にかなり評価が高いアルバムで
ラルクのなかで一番だと答える人も多い。ただ、私がその評判を知るのはずいぶん後だった。
ルナシーも一般的には「MOTHER」「STYLE」の方を勧められることが多い。
総じて「True」「MOTHER」「STYLE」は「同級生が好きなアルバム」という印象が強い。
20位〜11位
Laputaについて。この順位を考えるために聴き直していたら
ぐんぐん自分のなかで評価が高まっていってしまった。
逆にAMADEUS「霞」、Dir en grey「GAUZE」などは当時の思い入れのみで
この順位にまできている感じもしてしまう。
Dir en greyのビデオ作品を入れているのは
アルバム「MISSA」ではなくやはりこのVHS作品ヴァージョンが好ましいからだ。
「GARDEN」の歌い方がMISSAヴァージョンとビデオヴァージョンではちがうのだ。
ラルク「HEART」も当時の思い入れ要素の濃いもので
今、だれかにおすすめするかといったら正直よくわからない。
「milky way」を聴きつつ夜中に空を見上げながらあてもなく散歩していたことを思い出す。
Plastic Tree「Puppet Show」は逆に作品自体の持つポテンシャルの高さで選んだつもりである。
10位〜1位
Port of Notesは「Complain too much」しか聴いてない。
それでも(それだからこそ)このアルバムが特別なものになっている。
螢はたぶん個人的に聴き続けるだけでとくに誰とも共有しなくていい気がしている。
Raphael、REDЯUM、MALICE MIZERはもちろん当時から好きだったが
2016年に限定復活ライブを見たのが大きい。
といった事情をふまえてなおCocco「ブーゲンビリア」と初期ラルクを上位3つに据えた。
上位にいけばいくほど同じアーティストばかりのランキングになってしまった。
Cocco氏はデビュー20周年ベスト盤を発表するようだが「やわらかな傷跡」が収録されているのは良かった。
(公式映像https://www.youtube.com/watch?v=X815fvPU-cw)
初期ラルクに関してはもはや自分のなかで揺るぐことがない順位なのでとくに付け加えることもないが
「風の行方」「As if in a dream」といったもとから好きな曲に加え、ここ数年のライブで披露されることで蘇った曲というのも多い。
2011年20th L'Anniversary Liveの「In the Air」「ガラス玉」。
2012年国立競技場の「C'est La Vie」、2014年国立競技場の「Blame」。
2015年L'ArCASINOでの「and she said」「Wind of Gold」。
25週年でまた記念ライブをやるようだが果たして。