NHKラジオ:ふれあいラジオパーティー「アイドル大解剖」(中森明夫,辛酸なめ子)メモ

NHKラジオ第1放送,2007/9/4/20:05〜20:55 司会:青木裕子アナウンサー
(中森明夫→中,辛酸なめ子→辛,青木裕子→青)


中「500人くらいは取材したんじゃないかなぁ・・・」


辛「私の場合、雑誌とかCDとかの発言で妄想・・・」
「たまに記者会見で生身のアイドルを遠くから見ていると・・・
『笑顔』と『笑顔が消えたときの不機嫌な顔』のギャップにドキドキ
ふと見せる冷めた目とか・・・」
「顔の表情一つで周りの人の心をコントロールするのがプロのアイドルなんじゃないかなぁと・・・」


青「みなさんにとってのアイドルをファクシミリで送って下さい」←NHKはファックスとは言わんのか

青「お二人にとってのアイドルは誰?」

辛:男闘呼組,特に岡本健一,,南野陽子,新田恵利
中:麻丘めぐみ,浅田美代子,トレイシー・ハイド

青「最近のアイドルでは誰が好きですか?」

辛:沢尻エリカ
「自己プロデュース力が優れている」「写真の写り方,表現力」
「その一方で伝説(コワイ)」「振り回されたい」
中:じゃあ長澤まさみ
沢尻会長澤会の抗争という妄想がいっぱい記事に

青「(最近のアイドルに)全然うとくて・・・(固有名がさっぱりわからない)」

中「それは青木さんの問題ではなくて」
今は皆が知ってるアイドルがいない
「歌のアイドルは不況」
辛「じゃあアイドル自身もあんまり収入が多くない?」
中「そういう意味じゃなくてwアイドル冬の時代ですよ」
青「何で冬の時代?」
中「歌で言うと、アイドルが出れる歌番組ってのは少なくなった」
辛「歌番組はトーク番組になって・・・」
中「CDが売れなくなってきた」
デジタル配信→ジャケットに価値があるアイドルの歌にとっては辛い
中「歌のアイドルは厳しい時代。逆に言うと、アイドル女優とかグラビアアイドルとか・・・」
辛「グラビアアイドルは消費されるのが早い」
「クイズ番組とかで変な答えを出して、覚えてもらうしか・・・」

青:皆知ってるアイドルはいないんだ

中「強いて言うと、浅田真央とかね」
辛「スポーツ系のアイドルは(試合中)の苦悶の表情も見せる。
 女性に夢を抱きたい男性はついていけないのでは?」
中「そんなことないよw」
「ビーチバレーの浅尾美和とか」
「男子ならハンカチ王子,ハニカミ王子」
「スポーツの世界がアイドルになっちゃってるんじゃないか?」
辛「スポーツの方がピュアで夢に向かって頑張ってるみたいなイメージ?」
中「うーん、いや僕はスポーツ選手ってのがTVに映る時間が長いんじゃないのか・・・」
「スポーツに対する関心ってのが万人(のもののよう)になってる」

紅白の話

中:トップバッターはその年初登場のアイドル。トリは演歌の大御所。これが紅白だった
今はトップバッターの位置はJ-POP。
また、昔は個々で出れたのに今はハロプロっていうチームで一つの枠しかとれない

青:昔のアイドルと今のアイドルの質的な違いはあるのか?

辛:(今は)男女交際が乱れている。ファンの幻想を裏切りつづけている
中「例えば?例を挙げてください」
辛「出来ちゃった婚とか・・・」
〜〜〜
中「昔ってアイドルはセックスしないって思ってましたよね」
青「お人形みたいな感じ」
中「トイレ行かないとか,セックスしないとか,オナニーしないとかね」
写真雑誌、ケータイカメラ、インターネット、ワイドショー
→前だったらばれなかったものがばれてしまう


中「アイドルは神話性を保たなくてはいけないんだけども、保てない時代になっていて・・・」
青「でも、皆さん、普通の少女であってり、人間であったりするわけでしょ。
だから、厳しいですよね」

青:実際、今アイドルになるための資質としてはどんな人が?

中「アイドルは普通じゃだめなんですよね」
「僕がよく言っているのは、例えば女性だと『ケータイを持ってない女の子』」
青「いませんでしょ、そういう子」

辛「それはケータイが不純異性交遊の窓口になるからってこと?」
中「そうだし、、、例えばケータイカメラに彼氏との写真が残ってたり、
そういうのがない方がいいんですよね」
青「コミュニケーションできないじゃないですか。他の人と」
中「だから、メディアを通して、ファンの人と幻想でコミュニケーションするんですよ」

青:ファンの気質って変わってきているのか?

辛:最近は踊りもヲタ芸という名が。踊りが激しい。アイドル見なくてもいいのかなぁってぐらいに。
空間で一体化して、メンバーの一員みたいに
中:お祭りみたいなもん。アイドルがお神輿。アイドルを言い訳にして(騒ぐ)


中:ファンの高齢化,大きいお友達の大人買い
「ファッションなんかは一見『永遠の予備校生』」
「よくみてみると10年選手,20年選手が」


――後半――

中:アイドルの歴史は繰り返されている

リア・ディゾン
(辛:日本人男性の白人コンプレックスを上手くおさえて自分の人気に繋げている)
・元祖グラビアアイドル:アグネス・ラム
→両者とも口コミ人気が元


・70年代:南沙織→ピンクレディ
・80年代:松田聖子おニャン子クラブ
・90年代:沖縄アクターズスクール(安室,SPEED)
→「アイドルは南から来る」


【この後、阿久悠とピンクレディの話をしているが著書に詳しく書いてあるので省略】

青:これからはどんなアイドルがくる?

辛:最近はキャラが立ってるのが多いから、
ギャル曽根みたいな内臓キャラのアイドルが出てきたら面白い。

青:中森さんにとってアイドルとは?


「歌が上手いわけでもないし、よく見ると美人でもないし、
スタイルがいいわけでもないし、ダンスが上手いわけでもない」
「ただ可愛いだけ」
「欠点が長所になってる人」
「『あばたもえくぼ』なんて言葉がありますが『あばたがえくぼ』な人がアイドル」


――――――終――――――


中森明夫さんの発言の面白さは想定の範囲内なので別にいいとして
司会の(そして一般視聴者の代表でもある)青木さんの反応が面白かった。
「アイドルはシュミレーション・幻想だ」といった類の話は
アイドル論を狂ったように読みまくってしまっている私のような人間には
「今更何を」といった内容なのだが、
やはり司会の青木さんは、最初は上手く意味がつかめなかったようで
(途中で納得したみたいだったが)そのあたりの感覚が新鮮だった。


個人的には『ケータイを持ってない女の子』というのはヘェーと思った。
そしてどうでもいい話だが、私もケータイを持ってない。
ケータイを持ってないということを話すと、必ず吃驚されて「何で?」と言われるが
こちらからすれば「何でケータイ持ってるの?」としか言えない。
(勿論、仕事の特性上、携帯用の通信機器が必要というような場合は納得できる)
ケータイを持ってないと「社会」や「お友達」の参加条件が厳しくなるというのは
身をもって体験している。だから「社会」と「お友達」に興味がなければケータイはいらない。


また、辛酸なめ子さんの発言の矛盾点が気になった。
沢尻エリカが好き」と、いかにもアイドル通といったチョイスをしたり
「作り笑い」が好きなどと、アイドルの演技性が垣間見える部分を強調したにも関わらず
一方で「男女交際が乱れている」「ファンを裏切っている」といった
アイドルの幻想性を強固に保持せんとする保守的な発言を行なっている。


最初は私も「辛酸なめ子矛盾してるぜぇー」と突っ込んでいたが
後で考え直した。この辛酸なめ子が抱える矛盾こそがアイドルオタクの矛盾なのではないかと感じたからだ。