「アイドルとゴスロリと」の残り火

日奈森あむしゅごキャラの名前(ラン、ミキ、スゥ)が
キャンディーズから取られているということも
この日記を書かせた要因の一つだった。

アイドル声優の文脈にも触れたかった。
田村ゆかりさんや清水愛さんがロリータ・ファッションを愛用していることなど。

矢幡洋氏の
「ネオ・マゾヒズムに走る若者たち――リストカットゴスロリ・ムック」(『世界』723,2004.2)

「暗さ」志向をはるかに越えて、「病理」志向と言えるようなロックバンドとして
よく挙げられるのはムック、Raphael、カリ#ガリ、キナルラなどである。

この部分、びびった。
いやぁ、特にムックとRaphael大好きだから。カリガリもまぁ普通に聴く。キナルラはマニアック過ぎw
ただ、ムックの歌詞はこの記事が書かれた後に変容しているんじゃないかというのが私の意見で
そのあたりは以前の日記で少し触れている

0.ムック・ディルで自傷ごっこ 1.三浦悦子『聖体礼儀』 - 死に忘れましたわ
http://d.hatena.ne.jp/Imamu/20070319

  • 黒アイドル/白アイドルについて

(1)しばられたい←→結論は自分で出す
(2)幸福な家庭←→離婚にそなえて(貯金)
(3)かわいらしさが憧れ←→封建的すぎておかしい
(4)感謝する心←→わがままの魅力


今、上段の聖子を聖子ホワイト、下段の聖子を聖子ブラックと名づけましょう。
(引用者注:この日記上では左側が聖子ホワイトで、右側が聖子ブラックとなる)


小倉千加子松田聖子論』1995,朝日文芸文庫,p20)

ライムスターの宇多丸氏は「黒アイドル/白アイドル」という概念を提出したが
(参考:http://d.hatena.ne.jp/Imamu/20070610/p1)
すでに小倉千加子松田聖子という一人のアイドルの二つの側面を語る際に使用していたみたいだ。
そしてその後が興味深い。

女の子たちが、お前の正体をはっきりしろと迫った時、聖子は私には正体などない、
ホワイトもブラックもどちらも私の正体だ、と答えたのです。


(小倉千加子松田聖子論』1995,朝日文芸文庫,p24)


私はこの状態を「灰色アイドル」と個人的に呼んでいる。
http://d.hatena.ne.jp/Imamu/20070623/p1

  • アイドルの演技性を享受するものは、享受するだけでいいのか問題

ブリッ子聖子は、しかし次に男性に向かって、
「あなたも女性の心理や夢を体現する超一流の演技者たれ」と要求したのです。
「そうでなきゃ、つまんない」と言ったのです。
聖子は、少女の身体を男性ファンタジーの中に投げ込みつつ、
少年の身体もしっかり、自らのファンタジーの中に引きずりこむ少女です。


小倉千加子松田聖子論』1995,朝日文芸文庫,p189)


アイドルオタクはどう演じればよいのか?これについてはまだ肯定的な考えが浮かばない。


  • 本文中には出ていないが参考にしたもの

「少女」は社会における権力関係と無縁ではない。
社会規範から切り離された形で独自に存在することなどできようもない。
したがって「少女」はいつも社会規範への抵抗になり得ていたとはとても思えない。
かといってどんなときにも社会規範を補強していたものであったとも言いきれない。


(今田絵里香『「少女」の社会史』2007,p4)

「少女」の社会史 (双書ジェンダー分析)

「少女」の社会史 (双書ジェンダー分析)

今田絵里香氏が戦前の少女雑誌を分析する際に語ったような
社会規範への抵抗と補強の両面から考えるという発想を私も採用したいと思った。


余談だが、『「少女」の社会史』の中で興味深かったのは
都市新中間層の「子ども」に込められた童心主義と教育主義は
特に「男の子ども」について当てはまるものであり、
「少年」から切り離された「少女」には清純主義と芸術主義が込められていたという点である。


しかも、少女の清純主義は
戦時下に入りセンチメンタリズムというネガティヴなものとして批判されていたらしい。
この歴史的な経過は興味深い。


また、本の中では注記の部分でかすかに触れられているだけなのだが(p187)
戦前の少女雑誌(『少女の友』etc...)では「少女」は「大人」と差異化されているが
戦後の少女雑誌(『ひまわり』)では「少女」は「男」と差異化されているという分析があり
これも大変に示唆的であった。


私は「少女文化」は日本において、戦前に少女雑誌の中、
または一部のスター(宝塚など)やお金持ちしか体験されていなかったが
消費社会の爛熟とともに、実際に街に溢れ、また一般の女の子でも手が届くようになったのではないか?
と考えている。
現在のアイドル文化やゴスロリ文化と戦前の少女文化を同時に考える個人的な意味はそこにある。

  • 本文中には出ていないが参考にしたもの(2)

性教育の時間 - velvetdeath
http://d.hatena.ne.jp/ATOM-AGE/20071121/1195585014

アニメ、「こどものじかん」から
過激化するU-15アイドルの話やPerfumeチャットモンチーの話を
宇多丸×掟対談を引用しつつ書かれたもの。


Perfumeチャットモンチーには詳しくないのでノーコメントですが
(どうでもいいけどチャットモンチーが出てきたのでGO!GO!7188の今後の立ち位置を勝手に心配してます)
ジュニアアイドルの方のあのTバックやらVバックやらの状況は辛いですね。
だから、私は過激ではないもの、エロを強調してない作品を買ってました。
過激なジュニアアイドルばかりメディアでは騒がれてしまいますが、
ジュニアアイドルショップ「おいも屋本舗」などを隈なく探すと
エロを強調してない作品にも出会うことがあります。


そういうのを探して買ってますね。
自分としてはそういうのが主流になってくれればいいなぁと思ってるんですが
(なんせ<幻想>大好きですから)