DIR EN GREY「TOUR 09 FEAST OF V SENSES -MALE only-」@CLUB CITTA’川崎

Imamu2009-03-26



とき:2009-03-25

UROBOROS

UROBOROS

そうなんです
死肉が輝いている
朝です


(「手ぶらの通信兵、杖ははじめからなかったけれど歩いて行く・・・・・・」
キキダダマママキキ『死期盲』p81)

死期盲 (新しい詩人)

死期盲 (新しい詩人)

全てを闇に
晴れ晴れしい朝よ皮肉に
―おはよう―
Dir en grey「鼓動」)


Dir en greyは「絶望の夜」や「希望の朝」ではなく
死肉が輝いている瞬間を表現している。そう感じた。


WEB JUICEのインタビュー*1において京が語る
「前向きなことは歌いたくないんですよね。
そうじゃなくて“前向きでないものから出てくる前向きなもの”」
という発現を私なりに考えてみると「死肉の輝いた朝」の光景が目に浮ぶ。
多分、この輝きはとてもキレイで、とても哀しい。



スタッフ「入り口で男性ですと言ってください」


・DJ Boo「一緒にdirを待ちましょう」


ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」が来たときはベタすぎて思わず笑ってしまった。
NINE INCH NAILS「You Know What You Are?」から
Marilyn Manson「Irresponsible Hate Anthem」→Linkin Park「One Step Closer」
への繋ぎが少しだけ盛り上がった。客層を意識しての選曲だろうか?
後は多分Limp BizkitSlipknotあたり。


よく見えなかったが、DJ途中で誰かが乱入してた。
そのときは解らなかったがダイノジ大谷さんが来ていたようなので
それだったかもしれない。
http://ohtani.laff.jp/blog/2009/03/dir-en-grey-in.html
(追記:どうやら乱入したのはダイノジの大地さんのよう
http://ohchi.laff.jp/blog/2009/03/dir-en-greylive.html



会場暗転。SA BIR。前に押される圧力を身体全体に感じる。

京はAdidasの赤ジャージ?


9分以上もある大作「VINUSHKA(ウィヌシュカ)」は
アルバム「UROBOROS」の核となっている楽曲でやはり凄まじかった。

うえつくドグラ、マグラ
Dir en grey「VINUSHKA」)

・・・・・・このドグラ・マグラという言葉は、
維新前後までは切支丹伴天連の使う幻魔術のことをいった長崎地方の方言だそうで、
只今では単に手品とか、トリックとかいう意味にしか使われていない
一種の廃語同様の言葉だそうです。
語源、系統なんぞは、まだ判明致しませぬが、
強いて訳しますれば今の幻魔術もしくは
『堂廻目眩(どうめぐりめぐらみ)』『戸惑面喰(とまどいめんくらい)』
という字を当てて、おなじように『ドグラ・マグラ』と読ませてもよろしいというお話ですが、
いずれにしましてもそのような意味の全部を引っくるめたような言葉には
相違御座いません。


青空文庫 夢野久作ドグラ・マグラ
http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/card2093.html



「此処が真実だ!!!!!!!!!!!!」


曲も中盤に差し掛かると、もう会場がカオス。モッシュの嵐。
Shinyaの変則的なドラムが素敵すぎる。

実際のところをいうとこの地球表面上に生きとし生ける人間は、
一人残らず精神的の片輪者ばかりと断言して差支えないのである。


(正木敬之氏談「地球表面は狂人の一大解放治療場」『ドグラ・マグラ』より)

太陽は、これ等無限の精神病患者の大群を、地上一面に生み付けて、
永久に無言の解放治療を続けている。
そうするとその禽獣、虫ケラ以下の半狂人である人類たちは、
永い年月のうちに自然と自分たちがキチガイの大群集である事を自覚し初めて、
宗教とか、道徳とか、法律とか、又は赤い主義とか青い主義とかいう
御叮嚀なものを作って
「お互いに無茶を止しましょう・・・・・・変な真似をやめましょう」
をやっている。だから吾輩もその小さな模型を作って、
僭越ながら太陽氏になり代って「無薬の解放治療」を試みている。
「人類全部がキチガイ」という観察点に立脚した、
ホントウの科学的な精神病の研究治療を試みているのだ


(正木敬之氏談「地球表面は狂人の一大解放治療場」『ドグラ・マグラ』より)



「価値を見出せず 首縊り十三階段
手を叩き馴れ合う人」

RED SOIL。ヘドバン・モッシュ止まず

「I'll rape your daughter!!!!!!!!!!!!
on your grave!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「I'll rape your daughter!!!!!!!!!!!!
on your grave!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「京ーーーーーーーー」「京!」「京!!!」「京ーーーーーーー」
「あー・・・今日は・・・・・・いけるかー?」

「Fuck off!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「In The Sunーーーーーーーーーーーーー」


お経。殺気のある静寂が会場を包む。



蜷局。暗黒舞踏のような京の動きが印象的。
しかし、この日は声の調子があまり良くなく、最後は歌うことに集中したようだ。

GLASS SKIN。もはや小手先の技術でなく、圧倒的な存在感とパワーで乗り切る京。


お経。確かに京の後ろに神々しいオーラが見える(ライトのせいではない)



OBSCURE。イントロが始まった瞬間に客席がざわめく。
誰かが「神」と叫んだ。

HYDRAー666ー〜CLEVER SLEAZOID。意識が飛ぶ。
柵を越えて前に行く人多数。モッシュ・ヘドバン。


Dir en grey! Dir en grey! Dir en grey! Dir en grey! Dir en grey!・・・・・・」



G.D.S.またもやモッシュ・ヘドバン。

「オーオーオーオーーーオーオー」「オーオーオーオーーーオーオー」
Kiss Me Kill Me Kiss Me Kill Me Love Me Kiss Me Kill Me Love Me

「望まれない?愛でもない? 生まれることの自由に 疑い失うモノがないなら・・・」


「今日はいつもより歌えてるやろ(笑)」


京さん可愛すぎる。萌え死んだ。
さっきは「ここまで噛みついて来い!」って煽ってたのにさぁ。



「Fuck off!!!!!! Fuck off!!!!!! and wipe!!!!!!!!!!!!!!」
「Fuck off!!!!!! Fuck off!!!!!! and wipe!!!!!!!!!!!!!!」

礼・性・乖離
「邪鬼!!!!!!!!!!」
礼・性・乖離
「邪鬼!!!!!!!!!!」

PSYCHO PASTTRAP!!!!!!!!!!!!!!
PSYCHO PASTTRIP!!!!!!!!!!!!!!


by by by by by by DEATH TRAP!!!!!!!!!!!!!

トシヤがダイブ。それを合図にするように各地でダイブ勃発。
スタッフに連れて行かれる人を何人か見た。
残の後薫がギターを投げる。
京が放った聖水(ペットボトルの水)が掛かってすごい嬉しかった。


――――――――――――――――――――――――――


1st Album「GAUZE」収録の「mazohyst of decadence」は
人工中絶される"僕"の叫びを歌った曲である。

愛されない僕はこのまま死んだ方がいい
だから産声を上げず 静かに眠りましょう
Dir en grey「mazohyst of decadence」)

GAUZE

GAUZE


2nd Album「MACABRE」収録の「MACABRE―揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹」では
「食べる側」の虫と「食べられる側」の虫の視点で詞が展開される。
(食べる-食べられる関係を恋愛関係に例えている点も注目)

貴方なら許せるわね 残酷な生き物でも
足を地面に忘れたわ 残さないでね
Dir en grey「MACABRE―揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹」)

MACABRE

MACABRE


2nd Album後に出たシングル「ain't afraid to die」
死別を歌ったDir en grey屈指のバラード。

四季と君の色やがて消えるだろう
雪は溶けて街角に花が咲き
君が見た「色彩は」そっと溶けてゆく
Dir en grey「ain't afraid to die」)

ain’t afraid to die

ain’t afraid to die


Dir en grey過去の楽曲中、長大曲に分類されるものをピックアップしてみた。
こうしてみると、Dir en greyの歌詞に共通してあらわれるのは
「死」のイメージだということが解る。
ただ、各楽曲にその「死」の赴きは異なる。
「mazohyst of decadence」では生まれてくることすら叶わないものの絶望が、
「MACABRE―揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹」では自然界の非情な掟とカニバリズム的エロティシズムが、
「ain't afraid to die」では悲しい別れとしての「死」とその先にある微かな希望が
それぞれ描かれている。


それに比べると7th Album「UROBOROS」収録の「VINUSHKA」では
具体的な物語を語っていないように感じる。
ただただ、圧倒的な感情の塊が、重い重い感情の塊が表出されている。
「鋭く尖る感情に身を任せ」るように。


「VINUSHKA」の後半8分過ぎ
「血しぶく本能踏み潰し死を語る」と言い切った後、
曲は再びトップギアになる。
もはや歌詞カードを見ないと聞き取れないようなデスヴォイス
そして最後にこう叫ぶ。
「俺が悪であるが故に生きる意味さえ罪なのか」


「死を語る」のに直接的な「死」ではなく「生」それ自体の苦痛を語る。
確かにこれは"俺"という一個人の苦悩を歌っているに過ぎないのかもしれない。
だが、これは世界そのものをも歌っているのだ。
なぜなら「人類全部がキチガイ」(『ドグラ・マグラ』)なのだから。


――――――――――――――――――――――――――
セットリスト(多分)
SA BIR
VINUSHKA
RED SOIL
AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS


STUCK MAN
GRIEF
慟哭と去りぬ
DOZING GREEN
お経
蜷局
GLASS SKIN
お経
OBSCURE
HYDRA-666-
BUGABOO
冷血なりせば
REPETITION OF HATRED
CLEVER SLEAZOID


――アンコール――
G.D.S.
CHILD PREY
凱歌、沈黙が眠る頃
朔-saku-
羅刹国
残-ZAN-


・今日のBGM

Translating the Name

Translating the Name

手数の多いドラム、ギターリフ、荒々しいベース。
激しさのなかに光るメロディライン。


You Can't Spell Slaughter Without Laughter

You Can't Spell Slaughter Without Laughter

スクリーモエレクトロニカのmix。
Per●umeのかし●かの脳みそを快楽殺人者に代えたらこうなる。


Angel & The Dark River (Dig)

Angel & The Dark River (Dig)

ゴシックメタルの最高傑作。